海外FX業者のGEMFOREX(ゲムフォレックス)は、2023年5月31日に顧客に対して全サービスの停止を発表しています。
そのためGEMFOREXに登録していたほぼ全てのユーザーが、出金トラブルに巻き込まれる大きな事件となりました。
そこで、今回の記事ではGEMFOREXの現状と、破綻に至るまでの流れを時系列で紹介します。
GEMFOREX(ゲムフォレックス)はサービス停止して買収された
GEMFOREX(ゲムフォレックス)は、海外FX業者の中でもボーナスが充実していることで知られていましたが、2023年5月31日に全サービスを停止して利用できなくなりました。
その後Galaxy DAO(ギャラクシーダオ)に買収されています。
しかし、現在もGEMFOREXへ預けていたユーザーの資金は返金されていないことから不満が募っているという状況です。
すでにGalaxy DAOは独自仮想通貨のGBONDでの補償をしていますが、法定通貨での返金や補償を望んでいることもあり批判の声が無くなってはいません。
GEMFOREX(ゲムフォレックス)がサービスを停止するまでの流れ
GEMFOREXがサービス停止するまでの流れを具体的に解説していきます。
まずは簡単な時系列を、表にまとめました。
GEMFOREX(ゲムフォレックス)のサービス停止の流れ |
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2022年12月6日 | 出金トラブルの噂が出始める |
2022年12月中旬 | 実際に出金遅延スタート |
2023年2月4日 | 「2月中に収束予定」と報告 |
2023年3月5日 | 「全体の60%~70%の出金処理完了」の報告 |
2023年3月20日 | 「取引や出金を承認制」に変更 |
2023年4月7日 | 再度「出金遅延」の報告 |
2023年4月27日 | 公式Twitterアカウントが突然の削除 |
2023年5月1日 | 「立替出金」すると報告 |
2023年5月15日 | 出金遅延の原因を公開 |
2023年5月25日 | 「別の会社への譲渡」を発表 |
2023年5月30日 | 銀行入金が一時停止 |
2023年5月31日 | 「サービス停止」の発表 |
GEMFOREX(ゲムフォレックス)がサービス停止してしまった原因とは?
では、GEMFOREX(ゲムフォレックス)がサービス停止した原因について詳しく見ていきましょう。
ユーザー集団による規約違反行為
まず、GEMFOREX(ゲムフォレックス)が閉鎖される原因となったのは、2022年中頃から行われたユーザー集団による規約違反行為です。
集団が組織的に行っていたのは、ボーナスアービトラージという「発生した損失を別の業者の利益で補う方法」。
本来は規約違反であるのにも関わらず「集団的・計画的に行われた」ことで、GEMFOREXは大ダメージを受け、サービスを続行できなくなりました。
そもそもボーナスアービトラージを禁止行為にしていた理由は、GEMFOREXが「DD方式」を採用していたことが挙げられます。
トレーダーと業者間の取引になるDD方式では、トレーダーが負ければそのお金は業者のものとなるのが特徴です。
そのためトレーダーが得をすればするほど業者が損をすることもあり、「常に勝ち続ける」イカサマをしていた集団により、損失が大きくなってしまったというのが背景です。
そのため仮に「集団で繰り返された規約違反」を早急に対応できていれば、今でもサービス継続できていたかもしれません。
決済代行会社2社の持ち逃げ・未払い
GEMFOREXが最終的にサービス停止された原因となったのが、決済代行会社2社の持ち逃げ・未払いトラブルでした。
具体的な被害内容は以下の通りです。
・決済代行会社(A社):約50億円の持ち逃げ
・決済代行会社(B社):約10億円の未払い
通常は被害額を負担してくれる決済代行会社から「合計60億」という大金の支払いができなくなったことから、GEMFOREXはサービス停止せざるを得なくなってしまったのです。
ちなみに、詳細は後述しますが決済代行会社2社の名前も判明しており、Merrick Mirror Holdingsと関連会社のVirtus Logic Consulting&Servicesが対象となっているようです。
GEMFOREX(ゲムフォレックス)が閉鎖されたあとの流れ
では、GEMFOREX(ゲムフォレックス)が閉鎖されたあとの流れを見ていきましょう。
GEMFOREX(ゲムフォレックス)が閉鎖されたあとの流れ | |
2023年6月6日 | GEMFOREXの全サービスの停止 |
2023年8月1日 | ・新会社に事業継承
・8月1日以降に「出金再開」と報告 |
2023年8月15日 | ホワイトペーパー第一弾の公開 |
2023年10月31日 | ホワイトペーパー第二弾の公開 |
2023年11月27日 | 決済代行会社2社への損害賠償請求 |
2023年12月26日 | GEMFOREXが「アメリカで破産申し立て」と発表 |
2024年1月4日 | 公式ホームページを閉鎖 |
2023年8月1日にGEMFOREXがGalaxy DAOに買収されたあと、Galaxy DAOはGEMFOREXユーザーに対して独自仮想通貨で損害賠償する方針を発表し、実際に支払い自体は完了しています。
しかし、トークンによる補償に納得していないユーザーが多いこともあり、2023年11月に行われた決済代行会社への損害賠償が成立すればユーザー対応を協議するとしていました。
その後、12月にGEMFOREXが破産申し立てを行ったとの発表があり、ユーザーが望む「現金化」の対応は不可能となってしまったのです。
GEMFOREX(ゲムフォレックス)のサービス停止での被害
GEMFOREX(ゲムフォレックス)のサービスが停止したことで、トレーダーが受けた被害は大きく以下の2つです。
- 事実上の出金拒否で日本円で出金できなくなった
- 口座内の資金は独自トークンに変換されてしまった
GEMFOREXは、当初予算範囲で出金処理を行ったものの、すべてのユーザーが無事に出金できませんでした。
ほとんどのユーザーは対応してもらえなかったことから、不満が募っていきました。
その対応策として、事業継承したGalaxy DAOの独自トークン「GBROND」に変換されました。
しかし、「GBRONDは現金に変換不可」という仕様からほぼ価値がないのと同じです。
海外FX業者が飛ぶ予兆
海外FX業者は、日本の金融庁に登録されていないことから100%リスクがないとは言い切れません。
そこで、海外FX業者が飛ぶ予兆について理解しておき、予兆が見えたら自分自身で防衛するようにしましょう。
X(旧Twitter)で出金トラブルの噂が出る
出金トラブルについては、X(旧Twitter)にて情報が発信されることが多いので確認しておくと安心です。
とくに今回のGEMFOREXでは、2022年12月6日の公式アカウントの「利用規約違反者急増」の発表より、出金遅延のツイートが出始めています。
公式よりも一般ユーザーのほうが反応として早い場合も多いので、出金遅延・出金拒否ツイートを見かけるようになったらイエローサインと考えておくと安心です。
怪しい噂が流れている時にボーナスキャンペーンの開催頻度が増える
出金トラブルの噂が出ているときに、ボーナスキャンペーンの開催頻度が増えている場合にも注意が必要と言えるでしょう。
実際、GEMFOREXの場合も全サービス停止の前日に入金ボーナスを開催しています。
時系列は以下の通り。
- 2023年5月30日の早朝:ユーザーに入金ボーナス開催の案内メールを送信
- 同日の夜間:ボーナス開催期間中なのに、突然の入金受付停止のアナウンス
開催期間中にも関わらず「不定期開催の高額ボーナスキャンペーン」は、経営が安定していなくて資金を集めたいという企業の思惑が含まれているかもしれません。
GEMFOREXは独自トークン支払いでユーザーの不満が募っている:まとめ
今回は、GEMFOREXがサービス停止をした流れや原因から、現状についてまで詳しく解説しました。
現状は、事業継承したGalaxy DAOの独自トークン「GBROND」に変換されましたが、「GBRONDは現金に変換不可」のためユーザーの不満は解消していないのが実態です。
また、元のGEMFOREXが破産申し立てをしていること、いまだに決済代行会社への損害賠償請求について発表がないことから、ユーザーが現金変換できることは難しいと考えられます。
海外FX業者は日本の金融庁に登録されていないこともあり、大手でも100%の信頼はできないのが実際のところです。
GEMFOREXの事件を踏まえ、日頃からX(旧Twitter)や公式ホームページを確認し怪しい兆候がないかを確認しておくことが重要です。